雨楽熊と建築会社
マクドウェルさんの家で暮らし始めてから1年、
僕は毎日ハローワークに通いましたが、「年齢が低すぎる」「クマだから」という
理由だけでことごとく不採用。
ある雨の日、思い切ってマクドウェルさんに相談してみました。
そう、彼の建築会社で働かせてくれないかと相談したのです。
「そうか、一番身近なものを見落としていたよ!僕が雇えばいいんじゃないか!」
そういうわけで、僕、雨楽熊は晴れてマクドウェルさんの会社の建築事務員になったのでした。
初めての建築事務員。とりあえず、何をどうしたら良いのかまったくわかりません。
初出勤の朝、僕はおそるおそる事務所の扉を開けてみました。
そしたら事務所のみんながこっちを向いて立っていて、一斉に拍手するんです。
どうやらクマが入社するのは会社的にも始めてだったようで、僕はいきなりみんなの人気者!
なんていうか、とても暖かい気持ちになりました。みんなが僕を歓迎しているのです。
「みんな、聞いてくれ。彼は雨楽熊といって、雨が大好きなんだ。
雨が楽しくなる家作りについては、私がみっちり仕込んでおいた。良い助言者になるだろう。」
マクドウェルさんのおかげで、僕は「好き」を仕事にすることが出来たのでした。
建築会社での日常、そして目標に向かって
入社してから半年がたち、僕は7歳の誕生日を迎えました。
生活も安定してきて、お気に入りの雨具や傘も自分で買えるようになりました。
事務所には色々な依頼が入ります。その中でも、僕が担当するのは雨関係のご相談。この前は雨漏りで困っているお宅を、
逆にそれを利用して発電できるように改良したし、雨嫌いのおじいさんの家に雨水トイレシステムを導入して雨好きにもさせました。
でも、今日はいつもと違って、手強い依頼がきました。
「生活のすべてを雨水でまかないたい」
どうやら名古屋在住の大富豪からの依頼のようです。
こんな依頼、初めてです。どうしたらいいのでしょう。
焦る気持ちを抑えて、まずは依頼主に会ってみることにしました。
するとどうでしょう!
その依頼主とはなんと、
僕が雨楽師匠に拾われてしばらくして雨楽師匠のもとを
去っていった、雨楽犬ロドリゴではないですか!
「大きくなったな、雨楽熊」
ロドリゴは、老犬とは思えない輝いた目をしていました。
雨楽師匠のもとを去ってから大富豪になるまでの道のりは、
決して楽ではなかったはず。相当な苦労をしたんだろうと思います。僕は、ロドリゴに会えた喜びで頭がいっぱいです。
「雨楽熊、聞いてくれ。俺はこの依頼をするために生きていたと言っても過言ではない。雨楽師匠と暮らしていて思ったんだ。
雨を楽しむ究極の家を建てて、師匠を喜ばせてやろうってな。それで、必死に働いた。良いことも悪いこともいっぱいしたさ。
それで、やっとカネが出来たってわけだ。今となっては、師匠に見せるのは叶わなくなっちまったが・・・」
ロドリゴの話を聞いて、僕は思ったのです。
今こそ、雨楽師匠に恩返しをするときなのだと!!
こうして今、僕とロドリゴの「究極の雨楽の家」構想は幕を開けたのです。
みなさま、どんな家が出来るか、楽しみにしていてください!!
雨楽熊の物語は、ここでおわり